ローマ料理は北イタリアの豪華な料理とは対照的に、
庶民の知恵から生まれたシンプルな食材使いが真骨頂
です。カルボナーラだけがローマ料理ではありません。パスタ四天王とローマ独自の食習慣を知ると、食の旅が何倍にも深まります。
ローマを代表するパスタ料理は、材料の重なりから派生した「4兄弟」としてしばしば紹介されます。最もシンプルなカチョ・エ・ペペ(チーズと黒胡椒のみ)に、豚の頬肉「グアンチャーレ」を加えるとグリーチャに、そこにトマトを加えるとアマトリチャーナに、卵を加えるとカルボナーラになる——という関係性で覚えると、ローマパスタの体系が一気に理解できます。
ローマには「クイント・クアルト(第5の部位=内臓)」に代表される、素材を無駄にしない伝統料理が多く残っています。中でも旧ゲットー(ユダヤ人街)で発展した「カルチョーフィ・アッラ・ジューディア」(ユダヤ風揚げアーティチョーク)は、花のように大きく開くまで揚げる独特の調理法で知られる名物料理です。
ローマのユダヤ人コミュニティは2000年以上の歴史を持ち、旧ゲットー地区には今も専門店が集まっています。春〜初夏が旬のカルチョーフィ(アーティチョーク)は、ローマ風の煮込み「アッラ・ロマーナ」も定番です。
ローマ式ピザは、南イタリア(ナポリ)の丸くもちもちしたピザとは異なり、「ピッツァ・アル・ターリオ」と呼ばれる四角い薄焼きピザを量り売りするスタイルが主流です。好きな種類を好きな量だけ切ってもらい、その場で立ち食いするのがローマの日常風景です。
近年人気なのが「トラピッツィーノ」。三角形に切ったピザ生地のポケットに、シチューやミートボールなど家庭料理の総菜を詰めた比較的新しいストリートフードで、テスタッチョ地区のパン職人が考案しました。
イタリアのバールでは、カウンターで立ったままエスプレッソを一気に飲むのが日常のスタイル。座って注文すると席料が加算される店が多いので、地元流に手早く飲むのがお得です。ジェラートは「ジェラテリア・アルティジャナーレ(職人系ジェラート店)」を選ぶと、人工的な色をしていない自然な色味の本格的な味に出会えます。
ローマも地区によって食の体験が大きく異なります。観光地の中心部は価格が高くなりがちな一方、少し足を延ばすと地元価格で本格的な味に出会えます。