ゲントの食文化は、クリーミーな煮込み料理と、紫色の不思議な形をしたキャンディ、そしてヨーロッパで最も先進的とされるベジタリアン文化が織りなす、意外性に富んだ世界です。
ゲントを代表する郷土料理が「ワーターゾーイ」。もともとはレイエ川で獲れる淡水魚を使った漁師のスープでしたが、今では鶏肉を使ったクリームベースの煮込みが主流になっています。じゃがいも・にんじん・セロリなどの野菜とともにコトコト煮込まれ、優しい味わいが特徴です。
円錐形の紫色のキャンディ「キュベルドン」は、地元で「ゲンツェ・ヌーゼン(ゲントの鼻)」という愛称で親しまれています。外側はゼリー状でぷるぷる、中はねっとりとした食感で、木いちごやすみれの風味が特徴です。
専門の屋台や菓子店で購入でき、ゲントの街を歩く子供から大人までが頬張る、この街ならではの光景です。
1790年創業の老舗「ティレンテイン」は、今も伝統的な製法でマスタードを作り続けている専門店。粒の粗さや辛さの異なる複数の種類があり、ソーセージやフライドポテトに添えて楽しむのが定番です。
店頭では量り売りで購入でき、旅の思い出として持ち帰るお土産にも人気です。
ゲント発の醸造所「グルート」は、一般的なビールに使われるホップの代わりに、「グルート」と呼ばれる中世以前の伝統的なハーブブレンドで苦味と風味をつけるという、珍しい製法でビールを作っています。
意外と知られていませんが、ゲントは「ヨーロッパのベジタリアンの首都」と称されるほど、菜食文化への取り組みが進んだ街です。2009年、市が主導して「ドンデルダフ・ヴェッヒダフ(木曜日はベジタリアンの日)」という取り組みを開始し、公共施設の食堂などで週1回の菜食メニュー提供を推進しています。
この動きを受けて、市内には質の高いベジタリアン・ヴィーガンレストランが数多く集まるようになりました。肉料理中心のイメージが強いベルギー料理の中で、ゲントはひときわ異彩を放つ存在になっています。