シドニーの食は「海の幸と、世界中の移民の味」が二本柱です。湾で獲れる新鮮なシーフード、そしてアジアから地中海まで、移民が持ち込んだ多彩な料理。さらに、素材を生かす「モダン・オーストラリア料理」や、世界屈指のコーヒー文化も。チップ不要で気楽に楽しめる一方、物価は高め。そんなシドニーの食を、賢く味わうコツとあわせて紹介します。
海に開けたシドニーは、新鮮なシーフードの宝庫です。名物はシドニー・ロック・オイスター——小ぶりで濃厚な地元産の生ガキで、この地域でしか味わえない味わい。ぷりぷりのタイガー・プラウン(大エビ)や、身の詰まったカニ、白身魚のフィッシュ&チップスも定番です。
市内にはフィッシュ・マーケットがあり、水揚げされたばかりの魚介を、その場で調理してもらって食べられます。豪快なシーフード・プラッター(盛り合わせ)を囲めば、シドニーの海の恵みを一度に堪能できます。ビール片手に、湾を眺めながらのシーフード——この街ならではの贅沢です。
多文化都市シドニーの食の魅力は、世界中の本格的な料理が身近にあることです。とりわけアジア系の食が充実しており、チャイナタウンの点心、本格的なベトナム料理、タイ、韓国、日本——アジアのどの国の味も、驚くほど高いレベルで楽しめます。移民自身が作る「本国の味」だからこその本格派です。
地中海系の影響も濃く、レバノン料理やギリシャ料理、イタリアンも日常的。エリアごとに移民の色があり、街を移動するだけで世界一周のような食体験ができます。「シドニーの名物料理」を探すより、その日の気分で世界の味を選ぶのが、この街らしい食の楽しみ方です。
オーストラリアは世界屈指のコーヒー大国。シドニーにもこだわりの豆を自家焙煎するカフェが数え切れないほどあります。注文の定番は、エスプレッソに少量のミルクを注いだ「フラットホワイト」。この飲み方はオーストラリア(とニュージーランド)発祥とされ、いまや世界に広まりました。
そしてもうひとつの文化がブランチ。週末になると、人々はカフェに集い、アボカドトーストや卵料理をゆっくり味わいます。日光あふれるテラス席で、上質なコーヒーとブランチを楽しむ——それがシドニーの休日の過ごし方。チェーン店より、地元の個人経営のカフェに入るのがおすすめです。
近年のシドニーを語るうえで欠かせないのが「モダン・オーストラリア料理(モドオズ)」。これは、豊かな地元の食材を、アジアや地中海の技法を取り入れて自由に表現する、この国独自の現代料理です。新鮮なシーフードや上質な肉、野菜を、既成概念にとらわれず組み合わせる——多文化の国だからこそ生まれた食のスタイルです。
そして忘れてはならないのがオーストラリアワイン。近郊のハンターバレーをはじめ、国内各地の銘醸地のワインが手頃に楽しめます。「BYO(Bring Your Own)」——酒を持ち込めるレストランの文化もあり、好きなワインを持参して食事を楽しめます。地元の食材と地元のワインの組み合わせは、この街の食の醍醐味です。
うれしいことに、オーストラリアはチップの習慣が基本的にありません。表示価格を払えばよく、消費税(GST 10%)も価格に含まれています。アメリカのような上乗せに悩む必要がないのは気楽です。ただし物価そのものが高いため、レストランでの外食は日本よりかなり割高に感じるでしょう。カフェのコーヒーやブランチも同様です。
費用を抑えるコツは、フードコートやマーケット、アジア系の食堂を活用すること。多文化都市だけあって、安くて本格的なアジア料理が豊富です。ランチは手頃な店で、夜は奮発して、とメリハリをつけるのが賢い方法。BYOの店を選べば、酒代も抑えられます。