バンクーバーの食文化は、
太平洋沿岸の豊かな海の幸と、アジア系移民が育んだ多様な食文化
が融合しているのが最大の特徴です。「カナダ料理」という単一の枠に収まらない、まさに環太平洋の縮図のような食のシーンが広がっています。
日系移民の歴史が長いバンクーバーは、北米有数の「寿司の街」として知られています。特に有名なのが「カリフォルニアロール」発祥の地という説で、バンクーバーの寿司店「豆蔵(Tojo's)」を営む東海林修シェフが1970年代に考案したという話が広く伝わっています(ロサンゼルス発祥説と並んで語られることが多い逸話です)。
現在も市内には日本人シェフによる本格的な寿司店から、カジュアルなロール専門店まで幅広い選択肢があり、新鮮な魚介を扱う土地柄もあって寿司のレベルは総じて高い評価を得ています。
北米最古級のチャイナタウンを持つバンクーバーは、香港式の飲茶(ヤムチャ)文化が根付いていることでも知られています。週末になるとワゴンで料理を運んでくる伝統スタイルの飲茶レストランが地元の家族連れで賑わい、点心を少しずつ選んで楽しむのが定番の過ごし方です。
チャイナタウン以外にも、市内には広東・四川・台湾など多様な中華料理が根付いており、移民の歴史の厚みがそのまま食のバリエーションに反映されています。
太平洋岸に位置するバンクーバーは、新鮮な魚介類の宝庫でもあります。特にBCスポットプローン(ブリティッシュコロンビア産の甘えび)は初夏の短い漁期のみ味わえる地元の名物で、この時期はレストランのメニューにも特別に登場します。天然のサケやダンジネスクラブも定番の味覚です。
市内の食を巡る拠点として外せないのが「グランビルアイランド・パブリックマーケット」。地元農家の野菜からシーフード、チーズ、クラフト製品まで揃う市場で、食べ歩きにも最適です。
バンクーバーはカナダでも有数のフードトラック大国。ダウンタウンや公園周辺には、韓国料理・メキシコ料理・タイ料理など多国籍なメニューを提供するフードトラックが数多く並び、市が正式に営業許可を発行して運営を支援しています。天気の良い日にランチをテイクアウトして公園で食べるのが、地元流の過ごし方です。
西海岸らしいコーヒー文化も根付いており、個人経営の焙煎所やカフェが街のあちこちに点在しています。近年特に注目されているのがチャイナタウンに隣接するマウント・プレザント地区で、旧倉庫街をリノベーションしたクラフトビール醸造所やカフェが集まる、地元でも人気のエリアへと変貌を遂げています。