「イギリス料理はまずい」という評判は過去のものになりつつあります。多民族都市ロンドンの食文化は、伝統的なパブ料理から世界各国の本格料理まで、驚くほど幅広い層を持っています。何をどこで食べるべきかを知っておくと、旅の満足度が大きく変わります。
ロンドンの食文化の核心は「パブ(Pub=Public House)」にあります。単なる飲み屋ではなく、地域コミュニティの社交場として何世紀も機能してきた場所です。多くのパブは「ガストロパブ」として本格的な食事も提供しており、伝統的なイギリス料理を気軽に楽しめます。
注文方法にも独自のルールがあります。テーブルサービスではなく、カウンターで自分から注文・会計を済ませるのが基本スタイルです。料理ができると番号で呼ばれるか、席まで運ばれてきます。
19世紀、貴族のベッドフォード公爵夫人アンナが「夕食までの空腹をしのぐため」に始めたとされるアフタヌーンティー。3段トレイにサンドイッチ・スコーン・ケーキが盛られ、紅茶とともに楽しむこの習慣は、今やロンドン観光の定番体験として定着しています。
スコーンの食べ方には地域差があり、「クリームが先かジャムが先か」という論争があります。デヴォン式(クリーム→ジャム)とコーンウォール式(ジャム→クリーム)の2派が存在し、どちらが正しいか今も議論が続いています。
ロンドンを語る上で外せないのが「チキン・ティッカ・マサラ」です。インド料理をベースにイギリスで独自に発展したこの料理は、実はインドには存在しない「イギリス生まれの国民食」とも言われています。大英帝国時代のインドとの繋がりが、今のロンドンの食文化に深く根付いています。
東ロンドンのブリックレーン(Brick Lane)はバングラデシュ系コミュニティの中心地で、本格的なカレー・タンドリー料理を格安で楽しめるエリアとして有名です。
ロンドンには各地区に特色あるフードマーケットがあり、世界各国の屋台料理を一度に試せる場所として人気です。バラ・マーケット(Borough Market)はロンドンで最も歴史あるフードマーケットで、新鮮な食材から各国料理の屋台まで揃います。
近年はストリートフード文化も盛り上がっており、フードトラックが並ぶマーケットがロンドン各地で週末に開催されています。
ロンドンは地区によって食の個性が大きく異なります。観光地のレストランは価格が高くなりがちですが、一歩路地に入ると多様な選択肢が見つかります。