Büyükada · イスタンブール近郊・車のない島

ビュユックアダ島
馬車の時代が刻んだ、車のない島の静けさ

⛴ イスタンブールからフェリー約1〜1.5時間 🏝 半日〜終日
🚫 車両完全禁止 🏛 ヴィクトリア様式の館 ⛪ ギリシャ正教修道院 🚲 自転車周遊

マルマラ海に浮かぶプリンセス諸島最大の島。ビザンツ帝国時代には失脚した皇族の流刑地として、19〜20世紀にはイスタンブールの裕福なギリシャ人・アルメニア人・ユダヤ人の避暑地として栄えました。島内の移動手段は徒歩・自転車・電動カートのみ——ガソリン車の音が一切ない静けさが、喧騒のイスタンブール市街とは全く異なる時間の流れを生み出しています。

イスタンブールからのアクセス

所要時間
約1〜1.5時間
カバタシュまたはボスタンジュ桟橋発のフェリー
🎫
運賃
イスタンブールカートで乗船可
市内交通カードがそのまま使える。往復分の残高を確認しておくこと
🕐
おすすめ時間帯
夏季は朝6:50発の始発便が狙い目
日中は観光客で大変混雑。早朝出発で混雑を避けられる
マルマラ海 イスタンブール カバタシュ/ボスタンジュ桟橋 ビュユックアダ島 ⛴ フェリー 約1〜1.5h ヘイベリアダ島 ブルガズ島 現在地(ビュユックアダ島) イスタンブールから約1〜1.5時間
イスタンブールとの位置関係。プリンセス諸島には他にヘイベリアダ島・ブルガズ島もあり、同じフェリー航路で巡れます。
馬車(フェイトン)は廃止されています かつて島の名物だった馬車「フェイトン」は、動物福祉への配慮から2020年に電動カート・電動バスへ全面的に置き換えられました。古い旅行情報には馬車での移動が紹介されていることがありますが、現在は利用できませんのでご注意ください。

島内の移動手段を選ぶ

ビュユックアダ島には「徒歩」「自転車」「電動カート」の3つの移動手段があり、どれを選ぶかで旅の体験が変わります。中心街(時計塔広場周辺)は徒歩30分圏内で回れますが、丘の上の修道院や島を一周する周遊路(約12km)まで楽しむなら自転車が最適です。

自転車は港周辺のレンタルショップで1時間50〜100TL程度から借りられます。電動カートはイスタンブールカートでそのまま乗車でき、足腰に不安がある方や時間が限られている方に向いています。週末は自転車・電動カート・歩行者の交通量が非常に多くなるため、安全運転とヘルメット着用を心がけてください。


島内の歩き方・巡り方

港から中心街を抜け、丘を登って修道院へ、そして周遊路でビーチへ——車のない島だからこそ生まれる、ゆったりとした移動のリズムがあります。

⛴ 港(時計塔広場) 中心街(ヴィクトリア様式の館) 手工芸品店・徒歩圏内30分 電動カート乗り場 2020年に馬車から転換 イサ・テペ 旧ギリシャ孤児院 アヤ・ヨルギ修道院 島最高峰・イスタンブール一望 聖ニコラオス修道院 谷間に位置 ヨルックアリ・ビーチ N 港(起点) 自転車周遊路(約12km)
港(時計塔広場・起点)から中心街は徒歩圏内。丘の上の修道院・周遊路(自転車推奨)は中心街からさらに足を伸ばします。
SPOT 01 · 港から徒歩すぐ
中心街(時計塔広場〜ヴィクトリア様式の館)
Saat Meydanı / Çankaya Caddesi
🚶 港から徒歩すぐ ⏱ 1〜2時間 散策無料
オスマン様式のフェリーターミナルを出ると、すぐに1923年建造の時計塔がある中央広場に到着します。ここから伸びるチャンカヤ通り沿いには、19〜20世紀建造のヴィクトリア様式の木造邸宅が並びます。当時の裕福なギリシャ人・アルメニア人・ユダヤ人実業家が建てた夏の別荘で、花々に彩られたファサードが島の景観を特徴づけています。

ロシア革命で追放されたレフ・トロツキーが1929年から滞在した邸宅もこの通り沿いに残っています。中心街には手工芸品店・カフェ・レストランが集まり、島で最も賑わうエリアです。
SPOT 02 · 中心街から徒歩30〜40分(坂道)
アヤ・ヨルギ修道院
Aya Yorgi Monastery(St. George)
🚶 中心街から徒歩30〜40分 ⏱ 半日(往復含む) 島最高峰・パノラマ絶景
島の最高峰ユジェ・テペ(標高202m)の頂上に立つギリシャ正教の小さな教会。松林を抜ける登山道を30〜40分ほど歩いた先に、イスタンブール市街・マルマラ海を見渡す絶景が広がります。晴れた日には遠くイスタンブールのスカイラインまで見渡せます。

毎年4月23日の聖ジョージの日には、巡礼者がこの修道院を目指して登る伝統行事が行われます。頂上のカフェでワインを片手にパノラマを楽しむのが定番の過ごし方です。電動カートでは「小ツアー」のルート終点までしか行けないため、最後の登りは徒歩が必須です。
SPOT 03 · 中心街から徒歩15〜20分
聖ニコラオス修道院〜ルナパーク跡
Ayios Nikolaos Monastery
🚶 中心街から徒歩15〜20分 ⏱ 30分〜1時間 2つの丘の谷間に位置
島の2つの丘(イサ・テペ・ユジェ・テペ)に挟まれた谷間に建つビザンツ時代起源の修道院。1821年のギリシャ独立戦争時にオスマン軍に接収された歴史を持ち、火災での焼失と再建を経て現在の姿になりました。呼び鈴を鳴らして管理人に開けてもらうという、少し特別な訪問スタイルが残っています。

近くには「プリンセス諸島博物館(Adalar Müzesi)」もあり、島の歴史を知るのに役立ちます。
SPOT 04 · 自転車周遊路沿い
島一周サイクリング〜ビーチ
Perimeter Road / Yörükali Beach
🚲 自転車で約12km・2〜3時間 ⏱ 半日 夏季はビーチ遊泳も
島を一周する約12kmの周遊路は、自転車で巡る旅行者に最も人気のルートです。南側は松林に覆われた地中海性気候の自然が広がり、北側の住宅街とは全く違う風景が続きます。ヨルックアリ・ビーチは島で最も人気のビーチで、夏季は海水浴客で賑わいます(多くのビーチは有料の施設運営)。

島名物の「パルミエ」というパリパリ食感の焼き菓子を、周遊路沿いのベーカリーで味わうのもおすすめです。坂道が多いルートのため、電動アシスト自転車を選ぶと体力的に楽になります。

ビュユックアダ島ならではの体験

🚫🐎
馬車の時代から電動カートへ——車のない島の変遷

プリンセス諸島は20世紀初頭から「自動車が走らない島」として知られ、唯一の交通手段として馬車(フェイトン)が活躍してきました。優雅な木造邸宅の間を馬車が行き交う光景は「世紀末(フィン・ド・シエクル)の雰囲気」として旅行者に愛され、島のアイデンティティそのものでした。

しかし観光客の急増(最盛期は1日5万人が訪れたとされます)に伴い、馬への過重労働・栄養不足・伝染病(鼻疽)の発生など動物福祉上の深刻な問題が表面化しました。動物愛護団体の働きかけを受け、2020年に馬車は正式に廃止され、電動カート・電動バスへ全面転換されました。一部の島民からは「歩行者中心の島の雰囲気が失われる」という懸念の声も上がりましたが、動物福祉と観光業のバランスを取る決断として実行されました。

この島の歴史にはもうひとつの顔があります。ビザンツ帝国時代、失脚した皇族・政敵を「コンスタンティノープルの監視下に置きながら隔離する」流刑地として利用されました。「プリンセス諸島」という名前自体、ギリシャ語で「王子」を意味する言葉に由来しています。20世紀にはロシア革命で追放されたレフ・トロツキーが一時亡命生活を送った地としても知られ、優雅な避暑地という顔の裏に、追放と亡命という重い歴史も刻まれています。

訪問のベストシーズン 春(4〜6月)と早秋(9〜10月)が気候・混雑のバランスが最も良い季節です。夏(7〜8月)の週末はイスタンブール市民が避暑に訪れ非常に混雑します。冬季は観光客が少なく静かですが、多くの飲食店が休業し、空き家となった邸宅が並ぶ物寂しい美しさがあります。
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