プラリネが生まれ、ワッフルが焼かれ、街角ごとにショコラティエが香る。ベルギーでは、甘いものは一つの都市の名物ではなく、国全体の誇りです。1時間圏に寄り添う3つの街を、チョコレートを頼りに巡ります。
フランスのスイーツが「都市の職人文化」なら、ベルギーの甘さは「国そのものの文化」です。プラリネもワッフルも、特定の一都市に閉じたものではなく、ベルギー全土に根を張った国民的な誇り。だからこの国のスイーツ巡りは、一つの街ではなく、複数の街を続けて歩いてこそ本領を発揮します。
幸い、ベルギーの主要都市は驚くほど近い。ブリュッセルを拠点にすれば、ブルージュもゲントも1時間以内。まずは国じゅうで愛される甘い名物を知り、それから3つの街それぞれの"甘い個性"を訪ねていきましょう。
どの街でも出会える、けれど本場だからこその感動がある。ベルギー全土で愛される甘味の代表格です。
同じベルギーの甘味を、それぞれの街がまとう空気とともに。拠点のブリュッセルから、中世の街へ。
周遊の拠点にするなら、まずブリュッセル。プラリネを生んだ街だけあって、グラン・プラス周辺には老舗ショコラティエが軒を連ねます。とりわけ美しいのがGaleries Royales Saint-Hubert——ヨーロッパ最古級のガラス屋根のアーケードで、ショーウィンドウを覗き歩くだけで甘い時間が過ぎていきます。王室御用達の名店から実験的なアトリエまで密度が高く、"食べ比べ"の効率はベルギー随一。空港から中央駅まで電車20分、市内はMOBIBカード1枚で回れる利便性も、拠点にふさわしい条件です。
ベルギーで最も"チョコレートの街"の呼び名がふさわしいのがブルージュ。街全体が世界遺産に登録された中世の旧市街に、驚くほどの密度でショコラティエが点在します。車の乗り入れが制限され、移動は徒歩のみ。運河クルーズで水辺から街を眺めたあと、石畳の路地でチョコを買い、鐘楼を見上げながら食べ歩く——そんな絵本のような一日が過ごせます。チョコレート博物館もあり、カカオの歴史から製法まで学べます。日帰りも可能ですが、観光客が引いた夕暮れのライトアップは格別なので、できれば1泊を。
3都市目は、あえて観光客の少ないゲントへ。ブルージュと並ぶ美しい運河の街並みを持ちながら、大学都市らしい活気と、観光地化しすぎない素顔が魅力です。グラスライ/コーレンライの水辺を散歩し、チョコレートやワッフルを地元価格で味わえるのがゲントの良さ。名物の紫色のキャンディ「キュベルドン(Cuberdon)」は、外はグミ状で中はとろりとした独特の食感で、ここベルギーならではの珍味。ブリュッセルから35分、ブルージュから25分と、周遊ルートに無理なく組み込めます。
3都市はすべて1時間圏。ブリュッセルに宿を固定して、日替わりで中世の街へ通うのが賢い巡り方です。
拠点はブリュッセルに固定するのが正解。3都市はIC特急で相互に1時間以内、しかもゲントはブリュッセルとブルージュのちょうど中間にあります。宿を動かさず、朝出かけて夜に戻る"日帰り周遊"で3都市すべてを甘く回れるので、荷造りのストレスもありません。合わせて4〜5泊が快適な配分。
ブルージュだけは夕暮れのライトアップが格別なので、周遊の中で1泊だけ現地に泊まるプランもおすすめです。さらにチョコ以外の甘味やビール文化まで踏み込むなら、ダイヤとファッションの街アントワープ(ブリュッセルから50分)を4都市目に足すこともできます。
一つの街の名物ではなく、国全体が甘い。ベルギーを3都市続けて歩くと、その豊かさが体でわかります。首都の洗練、中世都市の情緒、学生街の素顔——同じプラリネを味わっても、街ごとに少しずつ違う表情を見せてくれる。それはきっと、複数の街を続けて巡る周遊の旅だからこそ味わえる、甘い発見です。